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ラナイ島
近藤純夫
パラヴァイ盆地からラナイハレ方面を望む
神々の庭園の先に伸びるモロカイ島

 ラナイ島はラナイハレ(1027m)を頂とする単一の火山で、海上に出現したのはいまからおよそ130万年前のことです。かつてはマウイ島やモロカイ島とひとつの島を形成していましたが、海面の上昇とともに分離し、ひとつの火山島として独立しました。その後、山塊の大半が浸食を受けて海に沈み、残された部分が今日の地形を形づくっています。

 ラナイハレは「ラナイの家」という意味で、地元ではパラヴァイとも呼ばれます。北東から吹く貿易風の湿った風はマウイ島やモロカイ島に降り注いでしまうため、ラナイ島にはあまり雨が降りませんが、山頂周辺だけは雨が多く、緑の森が広がっています。視界がよい日であれば、山頂からはカウアイ島とニイハウ島を除くすべての島を望むことができます。

 ラナイ島は地元ではナーナイ(Nāna‘i)とも呼ばれていました。伝承によれば、マウイ島の首長だったカウルラーアウはマウイを追われラナイ島に住みつきました。彼はこの地の厄介者であった悪霊を退治し、名声を得たことで、島の開祖となりました。ちなみに、ラーナイ(Lāna‘i)には「背中の突起」(*1)という意味がありますが、これは対岸から見たラナイ島の形状を表現したものです。

*1: このほかに「占領した日」という意味もあり、ナイ(na‘i)は「征服者」を意味します。

ホテルを除くなら島唯一と言っていいレストラン
アウトドア・アクティビティーは盛んだ

 中心部にはこの島最大の集落であるラナイシティーがありますが、集落の北端に豪華なリゾートホテルがある他は閑散としており、広大な空き地が目につきます。かつてはパイナップル畑が広がっていたのですが、企業が撤退した1992年以降は荒れるにまかせています。町の南にはルアヒヴァ地区があり、ここには数百年かけて刻まれた古代のペトログリフ(岩刻画)があります。

 島の北に位置する難破船海岸に出ると、東方面は地元のハンター以外はほとんど通らないケオームク海岸へのオフロードとなります。この道を南西へ下ると、ホオキオ渓谷の鬱蒼とした緑が海岸線まで延び、豊かな森が広がるところに到達します。かつてこの周辺にはサトウキビ畑やサトウキビを運ぶ鉄道が造られました。またケオームクという、一時は2000人を超す町もありましたが、いまは伝統的なフィッシュポンド(養魚場)を含め、すべてが打ち棄てられています。いまもこの海岸線に住む人はごくわずかで、四輪駆動車でしか走れないような道しかありません。七面鳥や鹿が姿を現す森のなかには、打ち棄てられたサトウキビ工場もあります。また、かつて農作業に従事した日系移民のものと思われる石碑も建っています。

 難破船海岸を西へ進むと灯台跡があり、そこから大型の船が一隻(*2)、波打ち際に打ち棄てられているのが見えます。この海峡は海の墓場とも言える場所で、1820年代に英国船が座礁して以来、数百艘もの船が難破しています。間近に見える大型船は第二次世界大戦の際に座礁した戦艦で、いまはすっかり錆びつき、海面下は魚たちの恰好の住みかになっています。

*2: 難破船はこの他にもあります。

ケオームクに近い森のなかにある日系人の石碑。三界萬霊とは、天下泰平の祈願と無縁仏を祀ったもの
神々の庭園に建つ石碑

 島の西半分は東部とは打って変わり、荒涼とした赤土が広がります。なかでも神々の庭園と名づけられたカーネプウ一帯は大昔の火山活動で噴出した火山弾が、この世のものとも思えない不思議な光景を作りだしています。乾燥しているせいで、大地はいつも砂埃を上げ、風に乗って海へ飛ばされるようなところですが、低地の原生林としてはハワイ諸島唯一の場所で、黒檀の一種であるラマや、オリーブの仲間であるオロプアなど、乾燥に強い植物が分布しています。一帯はネイチャー・コンサーバンシーという自然保護団体によって保護されています。

 ラナイ島の最西端はオアフ島最西端と同じく「カエナ」と呼ばれ、岬の周辺にはラナイ島最大のカエナ・ヘイアウ跡があります。19世紀初頭に来訪した白人宣教師たちは西欧的な倫理観を説きましたが、1830年代に不倫の罪に問われたマウイ島の女性たちは、このカエナに追放処分となりました(*3)。いまもここには居住地跡が残されています。

*3: 男性はカホオラヴェ島に追放されました。

 島の最南端となるマネレ湾にはラナイシティーと同じ系列のリゾートホテルがあります。ラナイシティーに昔からあるいくつかの小さなホテルを除けば、ラナイ島の主産業はこの2つのホテルだけと言ってもよいでしょう。フェリーで来島した場合はこの湾に到着します。岬をはさんで反対側には唯一のビーチリゾートと言えるフロポエ・ビーチがあります。いずれの湾も美しいサンゴ礁が発達し、今日では海洋生物保護区に指定されています。

北海岸にあるアヴァルア近くの無人ビーチ
難破船海岸から沖合いの船を見る

 ラナイ島へのアクセスはホノルルまたはマウイ島のカフルイからのフライトが一般的ですが、冬季はフェリーを利用するのも一手です。甲板からはラナイ島の海岸線を観察できるだけでなく、ザトウクジラを観察することもできます。

トップページの写真はモロカイ島のカウナカカイから見たラナイ島です。次回はカホオラヴェ島についてお話しします。
 

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