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コハラの牧場地帯から望むマウナ・ケアと天文台群 |
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高山と信仰
ハワイ島のマウナ・ケアやマウナ・ロアといった4千メートルを超す高山をはじめ、3千メートル級のマウイ島ハレアカラなど、ハワイ諸島には大きな山がいくつもあります。
マウナ・ケア(ハワイ島)
マウナ・ケア(海抜4205m)はハワイ諸島の最高峰として知られています。山頂には世界屈指の気象条件を生かし、巨大な天文台がひしめき合っています。しかしここは先住のハワイ人にとっては重要な聖地でもあります。天文台がある場所と正確な山頂とは少しだけ場所が違いますが、伝統文化を大切にする人々にとり、現状はあまりよいものと言えません。ここに建設される天文台の総数や、管理、使用に関してハワイ大学が特権的な地位を保っていますが、これは先住ハワイ人の利益団体とハワイ大学との間で土地利用の契約が結ばれていることに関係しています。
1980年代前後に始まったハワイ文化の復興運動(ハワイアン・ルネッサンス)をきっかけに、さまざまな意識改革が行われた結果、山頂には祭壇が設けられ、2番目のピークであるポリハレの丘(プウ・ポリハレ)は聖域であることを示す標識が立てられました。
山頂直下にあるワイアウ湖※もまた先住のハワイ人にとっては重要な場所です。ハワイの伝統文化において赤ん坊の臍の緒(ピコ)には「血縁」や「高山の頂」とった意味もあり、重要なものでした。赤ん坊を産んだ母親はこの臍の緒を、ペトログリフと呼ばれる岩に刻んだ窪みにおいて神に捧げたり、標高約4千メートルにもなるワイアウ湖まで登ってこれを投げ入れ、願掛けをしました。また、死者の霊はこの湖を基点に霊界とこの世を行き来すると信じられました。ハワイの人々はこの湖が底なしであると信じていましたが、近年に簡易な測量をした結果、水深はわずか3m程度であることがわかりました。冬期はトップ画像のように凍りますが、水は決して涸れることはありません。なぜ涸れないのかは現代の科学でも解かれていない点が神秘性を感じさせます。今日でもワイアウ湖をはじめ、マウナ。ケア山頂に登りつめた人は、みなそれぞれにこの地の不思議な力を感じるに違いありません。
※湖という名前は付いていますが、直径は90メートルほどです。
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ポリハレ・ビーチ |
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ポリハレ・ビーチ(カウアイ島)
カウアイ島西部はポリハレと呼ばれ、火の女神ペレの姉であるナーマカオカハイが住む聖なる場所とされます。この地域にポリハレ・ビーチがあり、その端にある崖はハエレエレと呼ばれます。神々や先祖の霊は、ハワイのさまざまな場所からポリハレにやって来ると言われます。そのため、この地域に住む人々は、東方から神々が行進して家のなかに入ってきて家のなかの人々を捕まえることのないように、東に面した方角には決して入口を造りませんでした。
ハエレエレは、死者の魂が飛び降り、黄泉の国(ポー)へ行く入口ともされています。ハワイの神々とは先祖の霊(アウマクア)でもありますから、死者は黄泉の国を通って先祖と再会するのです。もし死者を迎え入れる先祖の霊がいないと、死者はこの一帯の岩に取りつき、彷徨う霊となってしまいます。このため、ポリハレの土地から石を持ち帰ることは強く戒められています。ポリハレ・ビーチの果てにはいまも黄泉の国の入口があると信じられています。また、近くにはポーの神として知られるミル(「地下世界」の意味)を祀るポリハレ・ヘイアウがあります。ポリハレとは、「闇(Po)」の「家(hale)」を意味します。
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ポリハレ・ヘイアウのある森 |
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ポリハレ・ビーチの砂を踏むと犬の鳴き声のような音がするところがあります。かつてここはノヒリと呼ばれました。昔、この地で世捨て人のように暮らす男がいました。彼は何匹かの犬と一緒に暮らしていましたが、近隣の人々は眉をしかめました。ハワイの文化では犬は食用であって友人ではなかったからです。ある日、男が漁へ出ようとすると犬たちが一斉に吠えてそれを止めようとしました。男はそれを振り切って船を出しました。やがて大嵐が到来し、どちらが陸地なのかさえ分からない状態になったとき、男の耳に犬の鳴き声が聞こえました。彼はその泣き声を頼りになんとか戻ることができました。しかし、そこに犬たちの姿はありませんでした。犬たちは嵐に巻き込まれて砂のなかに沈みこんでしまったのです。それでも主人の身を案じ、砂の中から吠えて主人を助けたのでした。そのため、「Ke one kani o Nohili(ノヒリの吠え砂)」と呼ばれるようになったのです。いまもこの土地で多くのパワーをもらえると信じる人たちは少なくありません。
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西マウイの中央部に位置するイ(ー)アオ・ニードル |
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イ(ー)アオ・ニードル(マウイ島)
西マウイの玄関口でもあるワイルクから道を辿るとイ(ー)アオ渓谷州立公園に到着します。渓谷の周囲に広がる山間部はとても雨の多い土地で、山々の全容を眺められることはほとんどありません。なかでも先端が鋭く立ち上がったイ(ー)アオ・ニードルとその周辺は霊的なエネルギーであるマナの力がとくに強い土地と信じられ、歴代王家の墓地とされてきました。彼らは奥深く続く山々の、洞窟の奥などに埋葬されました。
この地域には多くの神話が残されています。ハワイに数多い神々のなかでも半神マウイとペレはとくによく知られています。あるとき、マウイは絶世の美女である娘イアオの恋人プウオカモウイに腹を立て、男を殺そうとします。火の女神ペレはマウイに、彼は自分の知人でもあるから命を助けて欲しいと願います。これを聞きつけた娘のイアオも父に嘆願するのですが、非情にも、マウイは殺さぬことを承諾したものの、恋人を岩に変え、あろうことか、これでいつも見ることはできるだろうとイアオに言い捨てたのでした。太陽を捕まえて人々の暮らしをよくしたり、母ヒナを災難から救ったときのよいイメージが崩れてしまうような話でもあります。マウイが変えたその岩こそ、今日、イ(ー)アオ・ニードルと呼ばれる針峰です。
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南の海岸(オロワル)から見た西マウイの山々 |
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トップページはハワイ島マウナ・ケアの3969メートル地点にあるワイアウ湖です。次回はパワースポットシリーズの最後として、地底や海岸などのパワースポットについてお話しします。
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