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鳥たちの世界(3) ハワイの猛禽類
近藤純夫
イオ
上昇気流に乗って羽根を広げるイオ(ハワイ島ポロル渓谷)
イオは学名を Buteo solitarius、英名をハワイアン・ホーク(Hawaiian Hawk)と言います。和名はハワイタカではなく、ハワイノスリです。ノスリはタカの一種ですが少し小柄で、クチバシや尾羽の形状などがタカとは異なります。
体長は40〜45cm、翼長は50〜60cmあり、オスはメスより少し小型です。日中は空の高いところを飛んでいますが、オヒアの木をねぐらにすることが多いようです。イオの仲間は世界中にいますが、そのほとんどは背の部分が暗い色で腹部が明るい色の個体に分かれます。ところがハワイのイオには2種類あって、全体が暗褐色の個体と、腹部が明るい個体に分かれます。両個体とも、若鳥は脚の色は黄緑色で、成鳥になると黄色になります。また、明るい色のタイプの若鳥は頭部と腹部がクリーム色をしています。
明るい色の個体のイオ。左は若鳥
いずれの個体も同じくらいの生息数があるとされますが、それほど多いわけではありません。研究者の報告によれば絶滅危惧種に指定するほどではないものの、環境保全などの注意を必要とする状態にあるとのことです。イオに限らず、ハワイ固有の動植物は流入する圧倒的な量の外来種とのサバイバルを強いられていて、つねに絶滅への道と背中合わせにあります。
アメリカ合衆国唯一の宮殿はカメハメハ4世によって「イオラニ(天上から遣わされた高貴な鳥)」と名づけられました。このことからも分かるように、先住のハワイ人にとり、イオは神の使いともいうべき神聖な鳥でした。現在は、ハワイ島にのみ生息するとされていますが、化石などから、かつてはオアフ島、モロカイ島、カウアイ島にも生息していたことが知られています。また、今日でもときおり、カウアイ島やマウイ島での目撃証言があります。
暗い色の個体のイオ(成鳥)
餌の捕り方はトビによく似ています。空中でホバリングしたり旋回しながら、地上のネズミや小型の野鳥、コオロギやカマキリ、ムカデなどの昆虫を見つけると、急降下して補食します。
ハワイ名は彼らが「イーオー」と鳴くことに由来しています。鳴き声は繁殖期に頻繁に聞かれますが、これはハワイミツスイなど、他の野鳥でも同じです。
学名に「単独の」とあるように、群れを作らずに過ごしますが、3月から9月にかけて巣作りを行います。卵は通常はひとつしか産みません。産んでから孵化するまで、メスは平均1ヶ月以上も卵を抱き続け、その間、オスは餌を運び続けます。卵が孵化すると、メスはオスが餌を持ってくるとき以外は拒絶するようになります。ヒナは7〜8週間で羽根が生え揃い、半分から3分の2ほどが成鳥となります。厳しい環境を考えるなら、この数字はかなり高いと言ってよいでしょう。
獲物を見つけて滑空するイオ
プエオ
成鳥のプエオ
イオと同じくハワイ固有の猛禽類であるプエオは、英名をShort-Eared Owl、和名をコミミズクと言い、世界に広く分布しています。プエオはコミミズクの近縁ですが、ハワイの固有種です。かつては諸島全域に生息していましたが、いまは数を減らしています。プエオは巣を草地の地面に作り、1度に3個から6個の卵を産みます。しかしマングースがこれを狙って食べることがあります。その他にも、耕耘機やブルドーザーに踏みつぶされるという人的な被害も無視できません。ヘッドライトに目が眩み、車に轢かれる事故も少なからずあります。その他にも、プエオだけがかかるウィルス性の病気があり、種の保全に対する努力がいまも続けられています。
体長はイオをひとまわり小さくした程度ですが、翼長はほぼ同じです。英名や和名にある小さな耳は羽毛のなかに隠れていてほとんど見えません。獲物は、イオと同じく、ネズミやリスなどです。ただし、飛び方はまったく異なります。イオがトビのように空の高いところを旋回しながら地上を観察するのに対し、プエオは地上や地上に近い枝に止まって獲物を探します。特殊な羽毛を持つため、飛びかかるときはほとんど音を立てません。
上空に舞い上がるプエオ
フクロウやミミズクと言うと、闇夜に乗じて獲物を捕るというイメージがありますが、プエオは朝から夜まで、時間帯に関係なく狩をします。主なフィールドは牧場や草地など開けた場所です。あまり人を主なフィールドは牧場や草地など開けた場所です。あまり人を怖れないので、運がよければ近くで観察することも可能です。先住のハワイ人にとり、プエオはイオと同じく神聖な鳥で、先祖の霊が宿ると信じられていました。
イオは「イーオー」と鳴き、ネネは「ネーネー」と鳴きますが、プエオの鳴き声は残念ながらハワイ名と同じではありません。ふだんはほとんど鳴きませんが、鳴くときは犬に似た吠え声や、ケンカをするときのネコに似た叫び声を発します。
トップページはキラウエア・イキ・トレイルの岩場に飛来したイオです。次回はハワイのサンセットを楽しむ穴場を紹介する予定です。
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