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ココ・クレーター・トレイル
近藤純夫
駐車場付近からココ・クレーターを臨む
駐車場付近からココ・クレーターを臨む
トレイルの出発地点
トレイルの出発地点
 ココ・ヘッド地区公園についてはこれまで、ココ・クレーター植物園、ココ・ヘッドと紹介してきましたが、今回はココ・クレーター・レイルウェー・トレイル(Koko Crater Railway Trail)を紹介します。トレイルの名が付いていますが、ここは第二次世界大戦の際に軍が設置したもので、山頂のバンカー(※掩蔽壕とかシェルターとも言われます。)に物資を運搬するために作られました。廃棄された線路跡を利用していますが、レンジャーと救護犬が待機することもある州公認のトレイルです。

 このトレイルはよくココ・ヘッドと間違われますが、その理由は以前にもお伝えしたように、ココ・ヘッドとココ・クレーター、ハナウマ湾を含む一体をココ・ヘッド地区公園(Koko Head Regional Park)と呼ぶためでしょう。山頂にたどり着くと分かりますが、このトレイルはココ・クレーターにあり、東側の眼下にはココ・クレーター植物園が広がっています。

 ココ・クレーターの標高は368mで、最初の枕木から山頂までは300m弱。距離にしてわずか700〜800mの登山ですが、軌道は山頂に向かってほぼ真っ直ぐに伸びているので傾斜が半端ではありません。トレッキングは歩幅を狭く、必要以上に脚を上げ下げしないのが楽に登るコツですが、ここでは枕木の間隔に合わせなければならず、一歩一歩が大変です。ダイヤモンドヘッド(標高232m)の3倍はきついと思った方が良いでしょう。
 
 
ココ・クレーターを形成する堆積物の断面
ココ・クレーターを形成する堆積物の断面
傾斜を増す軌道跡

傾斜を増す軌道跡

 出だしは行程のなかでは比較的勾配が緩やかですが、意識してゆっくりと歩きましょう。最初に無理をすると後で確実に脚に来ます。疲れたら降りれば良いだけと思うでしょうが、筋肉がひどく疲労すると膝に力が入らず、スリップしたり足首をひねる危険があります。キアヴェとハオレコアの灌木の間をゆっくり登っていくと、次第に勾配がきつくなっていきます。同行者に遅れまいとがんばるとすぐに疲労がピークに達してしまうので、「何段上がったら小休止する」と、自分でペースを決めるのがたいせつです。

 登っている最中にはずっと大気をふるわすように、パンパンという乾いた音が鳴り渡ります。これはスタート地点近くにあるライフル射撃場からの音です。安全は確保されていますが、あまり気分の良いものではありませんが、地元の人は気にしないようです。

 全行程の3分の2ほど登ったところに渓があり、下の景色を見ながら橋を渡ることになります。自信がなければ右手にある迂回路を利用しましょう。とくに下りは危ないので、脚が思うように動かない場合は無理をしないことです。
 
 
高所恐怖症と思われる地元のハイカー
高所恐怖症と思われる地元のハイカー
登って来た道の方面にはココヘッドとハナウマ湾が見える
登って来た道の方面にはココヘッドとハナウマ湾が見える
 橋の部分で行程的には3分の2ほど登ったことになりますが、ここからさらに傾斜がきつくなるので、体力的にはここが中間地点と言ったところでしょうか。多くの人がこの辺で長い休みを取っているようです。しかし土地の人はここをトレーニングコースに使っていて、軽い足取りで登っていきます。なかには重石を持って登る人もいて、3往復するという若い女性に会ったこともあります。

 最後の胸突き八丁を越えるといよいよ軌道の終点です。ここまでの枕木の数は全部で1048段あります。すぐ先にコンクリートブロックが出現します。これがバンカー(シェルター)で、いまもウインチの残骸が残されています。ここを右に迂回して軌道を離れ、少し登ると山頂です。バンカーの屋根の金網部分はかつてヘリポートだったところです。

 今登って来たところ(南西方面)を振り返ると、ココヘッドやハナウマ湾、ハワイカイの町並み、そして遠く右手にダイヤモンドヘッドを見渡せます。北側にはコオラウの山々、北東側には足元にココ・クレーターと植物園が、遠い先にはマカプウの山と、360度の景観を楽しめます。
 
 
軌道の終点部直下

軌道の終点部直下

残置されたウインチ
残置されたウインチ
 ココ・クレーターのハワイ語名は Kohe lepelepe と言います。これは女性の陰部を指す言葉なのですが、こんな神話が残されています。火の女神ペレの夫であるカマプアアが彼女を追いかけ回すので、これを心配した妹のカポが自分の陰部を取って投げつけ、カマプアアの気をそらせてペレを逃がしたという物語です。その跡がクレーターになったのだそうです。なんともあからさまな話ですが、ハワイ文化はこの手のことにおおらかで、似たような話が数多くあります。
注意点

山頂の北に連なるコオラウの山々
山頂の北に連なるコオラウの山々
  かつてあった軌道はかなり朽ちていますが、危険箇所は部分的に改修されています。とはいえ、本来トレイルとして造られたものではありませんので歩くときには用心が必要です。とくに渓に架かった橋の部分は落ちると重大な結果を招きます。自信が持てない人は迂回ルートを利用しましょう。また、枕木補強のためにコンクリートの枕木を付け加えた部分が上部にありますが、下るときはとても滑りやすく、スリップする人をときどき見かけます。しっかり足元を見て歩きましょう。トレイルには日差しを遮る場所がないので日中はかなりの暑さです。1人500cc〜1リットルほどの水を用意しておくこと、キャップをかぶること、履き慣れた靴を用意することなど、いくつか注意が必要です。できれば早朝に出かけることをお勧めします。
 
 
アプローチ

 ワイキキからはザ・バス(22番)でハナウマ湾入口まで。バス停ではハナウマ湾の反対側に伸びる道を下ります。ココクレーターの麓まで進むと、山頂へと続く軌道跡が見えてきます。所要時間は健脚の人で往復40分前後、普段あまり歩かないという人は1時間半近く見ておくと良いでしょう。

山頂北東部に広がるココ・クレーターとマカプウ岬
山頂北東部に広がるココ・クレーターとマカプウ岬

 トップページは渓に架かった橋の部分で休みトレッカーたちです。次回はハワイ島ヒロの北にあるホノムの町を紹介します。
 

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