カウアイ島のキラウエア岬やオアフ島のカエナ岬など、ハワイ諸島の海岸の一部では1年を通じて海鳥を観察することができます。今回はそのなかでも比較的よく見られるものに絞ってご紹介しましょう。
コアホウドリ(モーリー / Laysan albatross)は渡りをする鳥として知られます。ハワイでは冬季にレイサン島やミッドウェーなどの北西ハワイ諸島から飛来し、2〜3月初め頃頃まで抱卵してその後ヒナを育てます。コアホウドリはハワイに飛来する鳥のなかでは大型で、アホウドリよりは小さいですが、体長約80cm、翼長約200cm、体重2.5kg前後もあります。ヒナは写真のように褐色の羽毛を持ちますが、成長するとともに白くなります。翼は黒色ですが、裏面には写真に見られるような白い部分があります。日本では鳥島に生息します。
> 特集「キラウエア岬」(2010年10月21日掲載)
> 特集「カエナ岬」(2011年4月21日掲載) |
オオグンカンドリ(イヴァ / Great Frigatebird)は世界の熱帯や亜熱帯地域に広く分布します。体長は約100cm、翼長は200cm以上に及ぶ大型の鳥です。ただし体重は1kgほどしかありません。尾羽が二股に分かれているのが特徴で、遠目にもすぐにわかります。オスは写真のように全体が黒色ですが、喉に赤い喉袋を持ちます。繁殖期にはこれをハート型に膨らませて求愛行動を取ります。メスは喉から胸にかけて白い羽毛があります。ハワイ名(イヴァ)には「盗賊」の意味があります。性格はあまり良くなく、他の鳥が採った魚を横取りしたり、巣を襲って卵を盗むこともあります。仲間うちでも争うことがあり、ときにヒナが巻き添えを食らって死ぬこともあります。また上空を滑空しているときも、体をかいたり、あちこちをキョロキョロ見回したりと、落ち着きがありません。托卵は45日前後、ヒナの巣立ちまで半年、独立するまでさらに半年がかかります。日本では主に南西諸島に生息します。
オアフ島ノースショアのハレイヴァ(Hale 'iwa)という町の名前には「イヴァの家(生息地)」という意味があります。
しかし町の名の由来は、この地域を開発したディリンガムという人物が開業したホテルに「ハレイヴァ」という名前を付けたことによるものです。ディリンガムの名前はいまも西の端にあるグライダー滑走路に残されています。 |
シラオネッタイチョウ(コアエ・ケア / White-tailed Tropicbird)は体長約80〜90cm、長い尾羽は通常2本あり、これを除くと体長は40cmほどです。翼長は約90cm、体重は200〜300gです。托卵は約40日。孵化したヒナは巣立ちまでに70日ほどかかります。ハワイ名は白い(ケア)ネッタイチョウ(コアエ)という意味です。アカオネッタイチョウとよく似ていますが、シラオネッタイチョウは翼の表面に黒い模様があり、体がスリムな点が異なります。シラオネッタイチョウは世界の熱帯地域に広く分布しますが、海鳥のなかでは小型なので、他の鳥に餌を横取りされることがよくあります。通常は低木や岩陰に営巣するのですが、追いかけ回されることが多いため、断崖の小さな穴のなかに巣を作ることもあります。
アカオネッタイチョウ(コアエ・ウラ / Red-tailed Tropicbird)は体長80〜100cm、初夏に卵を産み、30日ほど托卵します。インド洋から太平洋まで広く熱帯と亜熱帯地域に分布します。日本では硫黄島周辺で繁殖の例があります。成鳥は純白でオレンジ色のクチバシと赤い尾羽が特徴ですが、幼鳥のクチバシは黒く、体に黒い斑点があります。
トップページはカウアイ島キラウエア岬にある海鳥のコロニーです。次回はハワイ島ヒロのナニ・マウ・ガーデンについてお話しします。 |