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鳥たちの世界(5)
近藤純夫
アマサギ
アマサギ
 今回は水辺(淡水)に生息するハワイの鳥たちを紹介します。水辺の鳥は田畑や川べり、湖沼などに生息する虫などを食べます。そのため、人間の生活圏につかず離れずの暮らしをするのが基本です。(※水鳥のなかには海岸に定着するものもいます。)ハワイ諸島で比較的よく見られる水鳥はおよそ30種。そのなかの一部を紹介します。

 アマサギは今日のハワイでもっとも目につく鳥でしょう。ハワイ名をアレクウ・カウ・ピピと言いますが、この名で呼ばれることはほとんどありません。一般には英名のキャトル・エグレットで呼ばれます。名の由来は、この鳥が牛のあとを追い、牛が掘り起こした土に生息する昆虫などを食べることによります。ショウジョウサギとも呼ばれますが、これは繁殖期に体の上半分をオレンジ色に染めるためです。ただし、ハワイのアマサギは頭頂部が少しオレンジ色になる程度でそれほど大きな変化はありません。


アエオ
アエオ
 アエオ(クロエリセイタカシギ)はメキシコ原産のクロエリセイタカシギから派生した亜種で、ハワイ固有種です。保護されるまで狩猟対象のひとつであったこと、生息域である湖沼が減ったことなどで減りつづけましたが、いまは穏やかに回復しています。とはいえ、絶滅危惧種としていまも保護の対象です。メキシコの原種と較べると首から頭部にかけて黒い部分が多いこと、クチバシや尾の長い点が特徴です。

コロア
コロア
 コロア(ハワイガモ)はハワイ諸島固有のカモです。カモはみなハワイ語でコロアと呼ばれるため、ハワイガモを区別するためにコロア・マオリとも呼ばれます。生息数が減り続け、今日ではカウアイ島以外ではあまり見られないようになってしまいました。

アラエ・ウラ
アラエ・ウラ
 アラエ・ウラ(バンの亜種)は古くからハワイ諸島に生息する鳥です。オオバンの亜種で、和名をハワイオオバンと言います。ハワイの神話によれば、この鳥は火をおこすことができましたが、一度失敗をして顔に火傷をおったため、額が赤くなったとされます。アラエ・ケオケオより少し小型の鳥です。生息数は少なく、この鳥も絶滅危惧種に指定されています。

アラエ・ケア
アラエ・ケア
 アラエ・ケアまたはアラエ・ケオケオ(ハワイオオバン)はアラエ・ウラによく似ています。ケアやケオは白色、ウラは赤色を表します。写真で見てわかるように、アラエ・ケアは額からクチバシにかけて白色をしているのに対し、アラエ・ウラは赤色をしているのが特徴です。いずれのアラエ(ハワイ語でバンの意味)も水鳥でありながら水かきを持っていませんが、大きな脚を持つため、ハスなどに乗り移りながら水面を上手に渡ります。このアラエ・ケアもまた生息数が激減し、絶滅危惧種に指定されています。

コーレア
コーレア
 コーレア(ムナグロ)はアマサギに次いでよく見られる水鳥のひとつです。繁殖期に羽毛をがらりと変え、胸の回りが黒くなることからムナグロという和名が付けられました。この鳥は古くからハワイ諸島に生息しており、古いフラの踊りのなかには、フラ・コーレアという、少しひょうきんな動作の踊りがありました。春が来ると北に渡り、冬場だけハワイにいることになっていますが、一部は通年で、それ以外にも長期にハワイに滞在するグループがいます。

アウクウ
アウクウ
 アウクウ(ゴイサギ)は日本でも見られる水鳥ですが、ハワイには人の手を介さずに定着しました。サギ科の特徴として、エサを狙う際は長時間じっと動かず、好機を待ちます。そのため、写真撮影のしやすい鳥ですが、あまりに動かないので、いつも同じような姿形になってしまいます。(笑) 英名をナイト・ヘロン(夜のサギ)と言い、夜行性とされていますが、実際は早朝でも日中でも見られます。

アケケケ
アケケケ
 アケケケ(キョウジョシギ)はアラスカから晩夏にハワイに渡って来て、5月に入ると北極圏に戻ります。いつも小さな群れで行動します。体色は地味ですが、高く上昇したり回転したりと、動きの派手さが特徴です。英名の Ruddy Turnstone とは「石をひっくり返しながらエサを探す赤い鳥」という意味です。干潟などでその様子を確認できます。繁殖期になると頭部から胸部にかけて白黒まだらの体色に変化します。ハワイ語のアケケケという名は、多くのハワイ名の鳥がそうであるように、鳴き声を表します。

ウーリリ
ウーリリ
 ウーリリ(メリケンキアシシギ)は、アケケケと同じ時期に北極圏から飛来し、春先まで滞在します。アケケケと異なるのは単独行動が多いこと。黙々とエサを探します。鳴き声は「ウーリリ」というハワイ名に近く「トゥーリリリ」という感じです。ヒモを引いて音を出すウーリリという楽器がありますが、空気を震わせる音がどことなくこの鳥に似ています。ちなみに、イズ・カマカヴィヴォオレのウリリ・エは、この鳥のことを題材にした歌です。

 水辺の鳥で一番に思い浮かぶのはネネ(ネーネー / ハワイガン)でしょう。本来は渡りの鳥で、先祖はカナダガンだと言われています。ネネは渡りを止め、ハワイ諸島に定住していますが、水鳥であることも半ば放棄しています。そのため水かきの大部分が消失していますが、水面を泳ぐことはできます。ただし水上生活もほぼ放棄しているので、水辺の鳥というグループにまとめるのは難しいかもしれません。

<名前の一覧>

Cattle egret / Bubulcus ibis / ‘Aleku‘u kau pipi / アマサギ
Hawaiian stilt bird / Himantopus mexicanus knudseni / Ae‘o / クロエリセイタカシギ / 絶滅危惧種
Hawaiian duck / Anas wyvilliana / koloa maoli / ハワイガモ / 絶滅危惧種
Hawaiian Common Moorhen / Gallinula chloropus sandvicensis / ‘Alae‘ula(“red forehead”) バンの亜種 / 絶滅危惧種
Hawaiian Coot / Fulica alai / ‘Alae ke‘oke‘o / ハワイオオバン / 絶滅危惧種
Pacific golden plover / Pluvialis dominica, Pluvialis fulva / kōlea / ムナグロ
Black-crowned Night heron / Nycticorax nycticorax / ‘Auku‘u / ゴイサギ
Ruddy Turnstone / Arenaria interpres / ‘Akekeke / キョウジョシギ
Wandering Tattler / Heteroscelus incanus / ‘Ūlili / メリケンキアシシギ
*Hawaiian Goose / Branta sandvicensis / Nēnē / ハワイガン / 絶滅危惧種

トップページはハワイガモ(コロア)のつがいです。次回はカウアイ島コケエのトレイルについてお話しします。



フラの花100「フラの花100─ハワイで出会う祈りの植物」(平凡社)
全192ページ 1,890円(税込)


フラにまつわる100のハワイやポリネシア由来の伝統植物・花々を厳選し、それぞれの植物や花々の文化的背景、歴史、伝承などをわかりやすく解説した楽園ハワイの植物ガイドです。

フラやキルト、レイなどはもちろん、ハワイの文化を知りたい人には是非ハワイにお持ちいただきたい一冊です。この本を片手に旅をすれば、きっとハワイがもっと好きになることでしょう。


アロハカワラ版「アロハブック・シェルフ」でも紹介しています
>>> フラの花100─ハワイで出会う祈りの植物

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