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ナパリ・コースト
近藤純夫
ハナレイ桟橋
ハナレイ桟橋
 カウアイ島北西部に連なる断崖はナパリ(崖)と呼ばれます。その名の通り、屏風状の岩が30km近くに渡って続きます。海岸は北東から吹きつける貿易風と流れ落ちる水によって深い浸食を受け、複雑な地形を作り上げてきました。近づくと分かりますが、数百万年に渡る浸食によって表面はとても脆くなっています。

 前回はヌアロロ・トレイルを下ってナパリ・コーストに出ましたが、今回はボートで海岸を縫うように移動しました。出港はハナレイ湾です。ボート・ツアーはこれまで南岸のポート・アレンから出港していましたが、現在は2つの港が使用されています。ハナレイの桟橋には観光客だけでなく地元の人たちも家族連れでやって来るため、日が暮れかかるまでにぎやかな声が聞こえます。湾にはナイア(ハシナガイルカ)が何頭も群れていました。

ハナレイ湾西方(進行方向)の景観
ハナレイ湾西方(進行方向)の景観
 ハナレイ湾は外海に向かって大きく開かれていますが海面はたいてい凪いでいます。しかし、岬を出たとたんにうねりが大きくなります。この日は、行きは追い風だったので、ボートは快適に進みました。乗員は14名ほど。海面を走り始めると、最初の目的地であるケエ・ビーチに向かいます。英語ではありますが、船長は軽いジョークを飛ばしながらナパリの自然についてていねいに説明してくれます。途中、ハーエナ・ビーチでは海水浴客が盛大に手を振ってくれました。その向こう隣に位置するケエ・ビーチは意外に小さく、森の片隅にこぢんまりとして見えました。ここはカララウ・トレイルの入口でもあるので、少し先に視線を移すと、崖のところどころをトレッカーが歩いているのに気づきます。

湾内を泳ぐナイアの群れ
湾内を泳ぐナイアの群れ
 カララウ・トレイルは昔からの地形を留めており、かつてさらに先にあるハナカーピアイで生産していたタロイモを運搬する街道でした。足場が悪く、雨が降ると粘土のように滑りやすくなる道なので、重い荷を担いで歩くのは大変だったでしょう。

 ボートはものの数分でハナカピアイに到着します。長いビーチですが、冬になると海の下に沈みます。ここを過ぎると、崖は次第に海岸へとせり出し、険しさを増します。海と接するところには、波が押し寄せて無数の穴を開けています。風雨の浸食によって形成された海食洞です。なかには巨大なものもあり、大きな観光ボートが内部に入ることのできる洞窟もあります。

海食洞のなかに入る
海食洞のなかに入る
 ボートは次にハナコア渓谷に向かいます。カララウ・トレイルの最初のキャンプ地*でもあって、この渓谷を流れる川を上りつめるとハナコア滝に出ます。ハナコアを過ぎてさらに進むと、カウアイ島でもっとも人気のある景勝地のひとつであるカララウ渓谷が出現します。上から見下ろす景色とはまた異なるのですが、雄大さは同じです。ここにはカララウ・トレイル最大のキャンプ地があります。

* カララウ・トレイル上にあるすべての指定キャンプ場は事前に許可申請を提出する必要があります。

 トレイル上にはタコノキやティーなどが目につきますが、垂直に近い崖にはほとんど植物は見られません。海には多くのアオウミガメがいました。ボートはさらにホノプーのシーアーチ(岩が海食でトンネル状に貫通したもの)を通過します。ホノプー・ビーチは、流れ落ちる滝と、海に迫る絶壁、その間に広がる白砂の海岸の景観が息を呑むほどの美しさです。ただし、泳いで上陸する以外のすべての手段が禁止されています。(※カヌーも不可です。)

カララウ渓谷
カララウ渓谷
 ホノプーを過ぎ、マクアイキ岬へと進みます。ナパリの崖は浸食の度合いが増し、日差しを受けて深い陰影を造り出しています。崖の途中に営巣するシラオネッタイチョウが風に乗って滑空している姿をひんぱんに目にするようになりました。その先にミロリイ海岸が現れます。ここもキャンプが可能です。

 ミロリイを過ぎ、マーカハの岬を回り込んだところでボートは停泊し、シュノーケリングの時間となります。一帯はサンゴ礁が発達し、多くの魚を観察できます。魚の群れをかき分けるようにアオウミガメも泳いでいました。運が良ければナイアにも遭遇できるでしょう。

ツアーで使用されるゴムボート
ツアーで使用されるゴムボート
 前方数百メートルのところにポリハレ・ビーチが見えます。このビーチは南西から車で来ることもできますが、長いダートとスタックしそうな砂地を走らなければなりません。それでも一度は来る価値があるでしょう。このビーチの別名はバーキング・サンド(鳴き砂)と言います。カウアイ島の伝承によれば、自らの命も省みず、洋上の主人に嵐の危険を伝えるため鳴き続けて死んだ飼い犬の声だとも言われています。また、この海岸の端にある崖はハエレエレと呼ばれ、ハワイ人の魂はここから飛び降りて祖先の神々と合流すると信じられました。
サンセットのなかを帰港するツアーのボート
サンセットのなかを帰港するツアーのボート
 シュノーケリングを楽しみ軽食を摂ったら帰途につきます。復路コースはこのツアーの2番目のハイライトと言っても良いでしょう。夕暮れ時、風は東から西に吹き抜けるので波はボートに向かって立ちます。往路の倍のスピードで進むボートはときに波を乗り越えて空中に飛び出し、波の向こうに着水します。その震動に耐え、ハナレイの港が近づいて来る頃にもうひとつ「お楽しみ」があります。これについてはぜひ参加して体験してください。(笑)

 そうそう、ハナレイ湾のサンセットはとても美しいです。あと少し時間を取って湾にとどまることをお勧めします。

ツアールート・マップ
ツアールート・マップ
 トップページは、深い浸食を受けた北西海岸のパリ(崖)です。次回はマウイ島のベイリー・ハウス博物館をお伝えします。


フラの花100「フラの花100─ハワイで出会う祈りの植物」(平凡社)
全192ページ 1,890円(税込)


フラにまつわる100のハワイやポリネシア由来の伝統植物・花々を厳選し、それぞれの植物や花々の文化的背景、歴史、伝承などをわかりやすく解説した楽園ハワイの植物ガイドです。

フラやキルト、レイなどはもちろん、ハワイの文化を知りたい人には是非ハワイにお持ちいただきたい一冊です。この本を片手に旅をすれば、きっとハワイがもっと好きになることでしょう。


アロハカワラ版「アロハブック・シェルフ」でも紹介しています
>>> フラの花100─ハワイで出会う祈りの植物

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