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ベイリーハウス・ミュージアム
近藤純夫
2階展示室
2階展示室
 マウイ島カフルイからワイルクを経てイアオ渓谷へ向かう途中に古い造りの白い洋館が現れます。マウイ島歴史協会が運営するベイリーハウス・ミュージアムです。小さな建物ですが、国家歴史登録財に指定されています。ここでは、ハワイの歴史を知る上で、貴重な資料を展示しているためです。

 ベイリーハウス・ミュージアム(オールド・ベイリーハウス)は、宣教師として来島したエドワード・ベイリーの自宅を改修した博物館です。(彼はワイルク女子高校の創設者としても知られています。)ベイリーの住まいは1833年に建築されましたが、この場所はかつてマウイ島を統治していたカヘキリ王の敷地でした。1888年までおよそ半世紀に渡って使われたこの住まいを改修し、博物館として公開されました。

木製のカマプアアの神像(キイ)
木製のカマプアアの神像(キイ)
 この建物は当初、当時マウイ島に入植した宣教師家族たちが、この島にキリスト教の信仰とアメリカ文化を浸透させる拠点として用いられました。建物に現地の女性を招き、裁縫などを教えたのです。しかし予算が逼迫し、1847年にハワイ王国の手に戻されました。

 その約10年後、ベイリーが購入し、その後、ワイルク砂糖プランテーションの一部となるベイリーサトウキビ農場と建物になりました。

漁具コーナー
漁具コーナー
 この博物館を運営管理するマウイ島歴史協会は1951年に設立され、博物館は6年後の1957年にオープンしました。当時の名称はハレ・ホ・イケイケ(展示ハウス)でした。その後、日系人のマサル・ヨコウチがこの建物を購入し、マウイ島歴史協会に寄贈して今日に至ります。

 館内にはラウハラ(タコノキの葉を用いた編細工)のマットやカパ(ハワイ伝統の不織布)、食器や武器、漁具、カロ(タロイモ)をこねる皿など、ハワイ王朝時代に用いられた道具が展示されています。なかでもカマプアアの木彫りは注目です。カマプアアは火の女神ペレの夫とされる神ですが、出自はブタ。そのためブタをイメージするような作品が多く見られるのですが、ベイリーハウス・ミュージアムに展示されているカマプアアは、まったく様相を異にしています。この木像はカメハメハ2世が統治していた1819年に保存され、今日に至るただひとつの貴重な民俗資料です。

 漁具のコーナーにはタコの仕掛けや漁の仕方を教える写真、もやい用の穴が空いた岩、時代や魚の種類ごとに変化する釣り針などが展示されています。これらはホノルルのビショップ博物館でも見られますが、マッコウクジラの骨を使用したレイのうち、写真のものはここでしか見られない珍しいものです。


カヌー
カヌー
 建物の2階にはハワイアン・キルトをはじめとする19世紀のハワイ文化が詰まっています。敷地の外にある建物の軒下にはカヌーも展示されています。ホナウナウという名のこのカヌーは10mの長さがあります。また、実際に用いられていた家具や寝具、調理器具、工芸品などから、19世紀の白人社会の暮らしぶりもよくわかります。タヒチまでの長距離航海を復元させたホクレア号のスケールモデルも展示してあります。見逃しがちですが、離れにはデューク・カハナモクが1919年に使用したサーフボードも展示してあります。
クジラの骨で作られたレイ
クジラの骨で作られたレイ

 個人的に興味深かったのはすでに絶滅したとされるハワイミツスイの1種であるオーオーの剥製が展示されていることです。この鳥はハワイ王朝時代に黄色の羽根を抜かれたため、生息数を激減させて絶滅したとされていました。ところが1980年代に1羽が見つかり、大きな期待が寄せられたのですが、その後発見されることなく、2度目の絶滅宣言となったのです。絶滅したとは言え、化石ではなく、リアルな剥製がこんなところで見られるのは驚きです。

 敷地内は芝生が敷きつめられ、コキオケオケオ(ハイビスカスの仲間)、カロ(タロイモ)、キー(ティーリーフ)、ハープウ(木生のシダ)など、在来の植物を中心に、ハワイの自然になじみの深い植物が植えられています。絵を描くのが趣味のベイリーは、ワイルク地域とイアオ渓谷を描いた作品を残しています。当時の雰囲気がよくわかります。


オーオーの剥製
オーオーの剥製
 ギフトショップではこの博物館でしか入手できない資料のほか、マウイ砂糖博物館で販売しているものと同じ砂糖など、この島ゆかりのグッズが販売されています。

住所:2375 A Main Street Wailuku Maui Hawaii
営業時間:月〜土の午前10時〜午後4時(日曜日、独立記念日、クリスマス、新年は閉館)
入場料:大人7ドル、子供(7〜12歳)2ドル、シニア5ドル、6歳以下無料
http://www.mauimuseum.org/


ベイリーが描いた風景画
ベイリーが描いた風景画
 トップページの写真は、ベイリーハウス・ミュージアムの外観です。次回はサトウキビについてお話しします。


フラの花100「フラの花100─ハワイで出会う祈りの植物」(平凡社)
全192ページ 1,890円(税込)


フラにまつわる100のハワイやポリネシア由来の伝統植物・花々を厳選し、それぞれの植物や花々の文化的背景、歴史、伝承などをわかりやすく解説した楽園ハワイの植物ガイドです。

フラやキルト、レイなどはもちろん、ハワイの文化を知りたい人には是非ハワイにお持ちいただきたい一冊です。この本を片手に旅をすれば、きっとハワイがもっと好きになることでしょう。


アロハカワラ版「アロハブック・シェルフ」でも紹介しています
>>> フラの花100─ハワイで出会う祈りの植物

【ハワイの歴史】
 ビショップ博物館 2003年3月20日
 歴史の謎に迫る (1) 2002年12月5日
 歴史の謎に迫る (2) 2002年12月19日
 本の世界 (1) マーク・トウェイン 2003年5月1日
 本の世界 (2) ロバート・ルイス・スティーブンソン 2003年5月15日
 本の世界 (3) イザベラ・バード 2003年6月5日
 日系移民史 元年者の時代 2003年11月6日
 大航海時代の探検家たち (1) ラ・ペルーズ 2004年7月1日
 大航海時代の探検家たち (2) クルーゼンシュテルン 2004年7月15日
 大航海時代の探検家たち (3) コツェブー 2004年11月18日
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 ポリネシア人の誕生 (1) 2005年6月2日
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 神々の物語 (1) 2005年9月15日
 神々の物語 (2) 2005年10月6日
 神々の物語 (3) 2005年10月20日
 クックが見たもの (1) 2005年12月1日
 クックが見たもの (2) 2006年1月19日
 クックが見たもの (3) 2006年2月16日
 クックが見たもの (4) 2006年3月2日
 火の女神ペレ(1)
2006年6月15日
 火の女神ペレ(2)
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 アフプア・ア (Ahupuaʻa) 2006年9月7日
 フィッシュポンド 2006年9月21日
 ホクレア(Hokuleʻa) 2007年4月19日
 タヒチ(Tahiti) 2007年5月17日
 ハワイ・プランテーション・ビレッジ Hawaii Plantion Village 2007年7月19日
 ダミアン神父の足跡を訪ねて 2008年2月21日
 カヌーと長距離航海(1) 2009年7月16日
 カヌーと長距離航海(2) 2009年8月20日
 カヌーと長距離航海(3) 2009年9月17日
 カラウパパ 2011年1月20日
 マウイ 2011年3月17日
 ハワイの歴史 ヘイアウ(1) 2012年8月16日
 ホノムの町と曾我部四郎 2013年6月20日
 ボルケーノハウス(その1) 2014年1月16日
 ボルケーノハウス(その2) 2014年2月20日
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