マウナ・ケア山頂は、各国の天文台が立ち並ぶ、天文台ビレッジ |
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今から4年前の1998年の10月15日、私は念願のマウナ・ケア山頂&星空ツアーに参加しました。その頃はまだ、星空ツアーは今程メジャーなオプショナルツアーでは無く、参加する人も少なかったように思いますが、高校時代から宇宙の神秘とロマンに憧れ、天文クラブに所属していた私にとっては、是非参加してみたいツアーの一つでした。ツアー会社は「太公望ハワイ」という会社で、日本人観光客向けに、ハワイ島の『マウナ・ケア山頂&星空ツアー』の他、『キラウエア火山ツアー』、マウイ島の『ハレアカラ
サンセット&星空ツアー』、『ハレアカラ ハイキングツアー』等を催行しています。今は日本からもインターネット等で簡単に予約ができます。
さて、ツアーの日私はその当時はまだアストンチェーンに入っていたコンドミニアムのロイヤル・シー・クリフ・リゾートに宿泊していました。コナ地区のホテルのピックアップ時間はだいたい午後2時30分頃で、迎えに来たのはいかにもパワーがありそうな15名乗りの4WDのバンでした。聞くところによると、特種な改造が施してあるバンらしく、普通の車ではマウナ・ケアの山頂までは登るのは難しいという事でした。
その後クイーン・カアフマヌ・ハイウェイを北上し、ワイコロア地区のホテルを順番にピックアップした後、ワイコロア・ビレッジを経由して、ハワイ島の中央を縦断しているサドル・ロードに入ります。途中パーカー牧場を抜けハワイ島の雄大な景色を楽しみながら、約1時間30分のドライブの後、標高2,800mの『オニズカ・ビジター・センター』に到着。ここは、1986年に起きたスペースシャトル「チャレンジャー号」の事故で亡くなったオニズカ大佐にちなんで名付けられた施設で、入口には大佐の石碑が建立され、ビデオ上映やコーヒーのサービス等もあります。ツアー参加者は高山病にならないよう身体を慣らす為に、ここで休憩を取りますが、その間に出された夕食のお弁当が結構おいしかったですよ。
約1時間の休憩の後、一気に4,205mの頂上を目指して出発です。途中、一部舗装されていない道を走る為、かなり揺れますが、富士山よりも高い山の上まで、車で行けるなんで驚きですね。さあいよいよ山頂に到着です。雲ははるか下方、見上げると晴天の青空。そしてそこは、日本の国立天文台『すばる』をはじめ、アメリカのKECK1号機、2号機など多くの天文台が立ち並ぶ天文台ビレッジです。
マウア・ロア山の方角に映し出されたマウア・ケアの影 |
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ところで、皆さんは天体観測に適している条件をご存知ですか?
それは、(1) 晴天が多い事、(2) 水蒸気が少ない事、(3) 大気が安定している事、(4) 夜空が暗い事です。そして、天文台を作る為に交通の便が良いマウナ・ケア山頂は、これらの条件を全てクリアした、天体観測には最適の場所なのです。
山頂はかなり寒いですが、ちゃんと厚手のジャケットと手袋を貸してくれるので大丈夫。但し、気圧が地上の2/3しかなく、空気も薄いのであまり激しく動くのは禁物。私も最初、足がフラつきました。また、このツアーには、「心臓疾患、呼吸器系疾患の方」「妊娠されている方」「高血圧の方」「11才以下の方」「24時間以内にスキューバダイビングを行った方」は参加できませんので、念の為。
さて、星空観測の前にサンセットを見ます。オレンジ色に輝く360度パノラマのサンセットは圧巻です。ここで沈む夕日をバックに『すばる』と記念撮影。カシャ!この時面白いのは、夕日と反対側のマウナ・ロア山の方角にマウナ・ケアの影が映し出される事です。人呼んで「影のマウナ・ケア」は何とも不思議な光景です。
日が完全に沈むと空は急速に暗くなり、一番星、二番星が輝き初めます。山頂では滞在できる時間も短く、一般人の天体観測禁止なので、1,000m位下ったところの空き地か「オニズカ・ビジター・センター」でいよいよ星空ウオッチングです。
観測を始める頃には、夜空は満点の星。星空の美しさは見慣れているはずの私でも、思わず息を呑む位の美しさです。天の川(銀河)がまるで雲のよう、星の数が多すぎて、どれがどの星座なのかなかなか見分けられない位です。しかし、そこは昔とった杵柄、目を凝らして見ている内に、「あっ、あれははくちょう座、という事はあの星はデネブ、こっちはぎょしゃ座のカペラか」というようにだんだんわかってくるのです。初心者の方は一番見つけ易い、おおぐま座の北斗七星かカシオペア座の「W」の文字を探せばいいでしょう。日本と緯度が違うので若干星座の見える角度が違いますが、年間を通してこのどちからの星座は見えるはずです。また、季節によっては、日本では絶対に見る事ができない南十字星も地平線ぎりぎりのところに見えるからうれしいですね。運がよければ、流星や人工衛星が見えるかも知れませんよ。ガイドさんが親切に教えてくれるので、星の知識が無い人でも大丈夫です。
肉眼での観測が済むと、ガイドさんが口径25cmの反射望遠鏡を用意してくれて、順番に覗かせてくれます。土星の輪やアンドロメダ星雲の姿にツアー参加者は大はしゃぎでした。
その昔、この星を頼りに、いかだに乗ってハワイ諸島を目指したポリネシアの人々を思い、また、何万光年彼方の星々に思いを馳せ、太古と宇宙のロマンに浸りながら時は過ぎて行きます。所要時間約8時間、ホテルへは午後10時30分前後の帰着でちょっと遅くなりますが、大満足の星空ツアー是非一度参加されてはいかかでしょうか?
ここで耳よりなお話。日本が誇る世界最大の『すばる望遠鏡』が2003年4月以降に一般公開されるようです。天文ファンにとっては、とってもうれしいニュースですね。私も『すばる望遠鏡』見学の為、再度マウナ・ケアに登るぞー!
(掲載日:2002年11月21日)
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