上司らに「有休取るのやめていいよ」といじめられながらも、そんな事も忘れハワイでの休暇をたっぷり楽しんできました。
なんだかハワイに行く度に山に行っているようですが、今回もマウイ島ハレアカラへサンライズを見に行きました。何度かマウイへ行っているのに、ハレアカラへ登るのは初めてでした。
参加したのは、ハワイに到着した日の翌日。つまり到着した日の夜中に出発です。私たちは時差ぼけもあるから8時か9時には絶対に寝よう!と決心してたんですが、結局寝たのは11時半。なんとか2時間だけ寝て、アストン・カアナパリ・ショアーズを2時50分に出発しました。この日のツアーは、参加者は私たちだけで、貸し切り状態でした。ハレアカラへ着くまでは1時間半くらいかかります。真っ暗な中通り越して行くのはハレアカラダウンヒルツアーのミニバスくらいです。
しばらく走り続け、やっとハレアカラ国立公園に到着です。最初に国立公園管理事務所で休憩します。ここは7,000フィート(2,134m)地点にあるので、車の外は、もう既に結構な寒さです。防寒着と双眼鏡を借りて、さらに車で登って行きます。しばらくジグザグと登って行くと、いよいよそこは「レッドヒル」と呼ばれる、10,023フィート(3,055m)のハレアカラの山頂です!(5時頃)真っ暗な中、山頂にあるサミット・ビルディングに入り、マウイ島やハレアカラ山がどうできたの などの説明を受けます。このレッドヒルの駐車場中央には、珍しい高山植物シルバースウォード(銀剣草)が生えています。
シルバースウォードは、細い毛で覆われた尖った葉が特徴的です。一生に1度だけ花を咲かせるこの植物は、花を咲かせるまで15〜50年くらいかかります。株の中央から50〜200センチの高さの茎が伸びて何百というえび茶色の花を咲かせます。枯れると種を落とし、シルバースウォードは一生を終えます。1920年代には絶滅の危機に瀕していましたが、その後保護を受けながら数が増え、現在はハレアカラのシンダーコーン(噴石丘)の斜面などにも自生しているのが見られます。
レッドヒルではまだ月が見えます。最初にここに着いた時は白っぽかった月が、今は黄色く見えます。次第に月が沈んでいくにつれ、太陽が日没近くにオレンジ色に見えるように、オレンジ色に変わって行きます。双眼鏡を覗くと、まるで線香花火の先端のような大きな月が見えます。今にもジジッ ジジッと火花が散りそう!
マウイ島の空港があるカフルイの街やマアラエアの街灯りも眼下に広がっています。月が沈むと灯りの無くなった夜空には、満天の星空が現れます。幸い雲がなくて、360度の方向に星が見えます。ひと際明るく輝く木星、頭からしっぽまで現れた蠍座、南十字星、北斗七星、おおぐま座、子ぐま座、春の大三角形などなど。願い事を言う間もなく流れて行く星や、一定速度で飛ぶ人工衛星も見つかりました。満天の星空を眺めていると、なんだか自分が吸い込まれて行きそうです。気が付くと空がだんだん白んできました。いよいよ日の出が近づいてきました。
レッドヒルから少し下りたハレアカラ・ビジター・センターへ移動です。このビジター・センターから懐中電灯の灯りを頼りに、暗いゴツゴツの道を歩いて「ホワイトヒル」(9,740フィート、2,969m)頂上へ登ります。真っ黒に広がる地球と真っ黒な空の間が、徐々に白く、そしてオレンジ色に光り始めました。西を向くと、西マウイの方向の空は上がピンク、下が青く見えます。青い部分は地球の陰だそうです。日が昇につれ、この青い部分がどんどん下がり、視界はピンク色の空に満たされて行きます。東側を向くと、右手にはハワイ島のマウナ・ケア山、マウナ・ラニ山が見えます。
雲海の向こうにハワイ島のマウナ・ケア山(左)とマウナ・ロア山(右)が見えます。 |
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1年半前は向こうからこっちを見ていたな、と感慨に浸りながら太陽の方向を双眼鏡で覗くと、雲の端がオレンジ色に燃えているように見えます。雲の間から太陽が姿を表しました。夜明けです。眼下の黒い部分は太陽の光を浴びて、徐々に姿を現してきました。そこは、ハレアカラのクレーターが広がっていました。そして後ろを振り返ると、自分が立っているハレアカラ山の影が見えます。この影の先端には、自分の影も見えるのかなぁ。
日が昇って明るくなってから、スライディング・サンズ・トレイルを少し歩きます。乾いた赤い砂のような地面を、滑らないように歩きます。名前の通りのトレイルですね。20分くらいの行程で大した勾配でもないのに、3,000m近い高さのため少し息が上がりました。このトレイル脇には、史跡も見えます。
雲海の彼方に太陽が姿を現しました。ホワイトヒルから。 |
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車に戻って、少し下ってカラハク展望台に行きます。ここからは、クレーター内のシンダーコーンがよく見えます。目視すると白いぶつぶつにしか見えない物も、双眼鏡を覗くと、シンダーコーンの斜面やクレーター内にも自生のシルバースウォードだってわかります。
ここからは自転車に乗ったダウンヒルバイカー達と一緒に、私たちは車でハレアカラ山を下り、カフルイへ向かいます。途中、左手には西マウイとハレアカラの裾野に広がるさとうきび畑が見えます。西マウイの向こう側にあるカアナパリなどは隠れて見えません。
このさとうきび畑があるのは西マウイの山とハレアカラのちょうど谷になります。マウイ島はもともと2つの火山に分かれていました。古い方の西マウイ、マウナ・カハラ・ワイと新しいハレアカラです。100万年程前、既に1万フィートの高さになっていたハレアカラ火山が噴火し、その溶岩が流れ込んで西マウイの火山、マウナ・カハラ・ワイとの間を埋めて、1つの島となりました。
カフルイに到着すると、マルコズ・グリル&バーで朝食です。フレンチトースト、オムレツ、パンケーキから選びます。オムレツもパンケーキもとってもボリュームたっぷり!この店オリジナルのフレーバーコーヒーを出しています。豆でも販売しているそうです。
「ハレアカラ」はThe House of the Sun―太陽の家という意味のハワイ語です。太陽はその存在と力から、古代ハワイの人々から崇拝されていました。太陽は人々に生命や富、恩恵をもたらしました。ハレアカラにはマウイという半神半人がいました。マウイはある日ウィリウィリの木の根の隠れ家から抜け出して、投げ縄で太陽を捕らえました。太陽は毎日空を突っ走り、人々に十分な光を与えないので、マウイは祖母のマフイエから与えられた聖なる斧で、太陽の強い方の脚を折り、空をゆっくり進むように弱い脚を残しました。こうしてハワイには、タパクロス(コウゾの木の内側の樹皮を叩いて作られた布)を乾かしたり必要な植物の結実に充分な日光がもたらされたそうです。
(掲載日:2004年3月18日) |